「石垣島 海人のしごと」

沖縄では漁師さんのことを海人(ウミンチュ)と呼びます。
著者の西野さんは何年もかけて海人の取材をし、船に同行して写真を撮ってきました。
石垣の海人の中には戦前の「糸満売り」という奉公制度で売られて苦労してきた方も多く、
子どものころから海で漁をしていたそうです。
本の中の海人はとてもたくましく、生き生きと輝いています。
そして、石垣の海はこんなにも豊かだったのか?と思えるほどの迫力のある写真に圧倒されるばかり。
写真の素晴らしさもさることながら、様々な漁に驚きを覚えます。
チナカキエー(追い込み漁) イラブー(ウミヘビ)漁、 マグロ延縄(はえなわ)漁
など。カタカナ文字もたくさんです。
また、漁のお話以外にも、航海安全と大漁を祈願するハーリーといった伝統行事についても書かれていて海人の生き方そのものが見えてきます。
陸にいるときはお酒を飲み、楽しく仲間と冗談を言いながら笑いあえますが、
ひとたび海へ行くと、生と死との隣り合わせの中、過酷な戦いとなります。
著者の西野さんは取材後記に
海人のしごとは「命をいただく仕事」であり「命をかけた仕事」と綴っています。
潜水病や時化などで、命を落とす方もいます。
亜熱帯でめぐまれた海の中では石垣島の海人は海の生態系の中に組み込まれています。
躊躇なく命をかけた獲物から命をいただくといいうことが、海人のしごとの本質だと。
石垣島は私が移住してきた20年前は、海は今よりも更に美しく、魚や高瀬貝などの貝類も豊富でした。環境の変化とともに海も変わっていってしまったようです。
家の近所にウミガメ漁をしていたお宅があり、ひょいとのぞくと多くのウミガメが家の庭にいたかと思うとある日突然、いなくなったり(食用として売られていました)していました。
また、近くにはウミガメの料理を出すお店もありました。あっさりしていて美味しかったです。今はそのウミガメ漁をしていた方が廃業し、お店もなくなりました。
環境に配慮したインフラ整備をしていかなければ、この先は心配です。
石垣には豊富な魚種があるため、漁法も様々です。ですが、魚が消えていけば、伝統的な漁法もなくなり、海人も消えていってしまうかもしれません。
石垣島の生態系の一つとして組み込まれていた海人がなくなれば、海の生態系は変わり、
陸では石垣島の伝統文化もまた一つ消えていくでしょう。
潮回りを知り、天気図を読み、雲や風向きを読む。
生きるために培われたこの知恵が継承していくことができるのでしょうか。
この本はそれを訴えかけてるかのようにも思えました。
この「海人のしごと」の後、「海人」という写真集が出版されました。
これは集大成のごとく素晴らしい写真ばかりです!八重山好きな方、写真好きな方はぜひ写真集をみていただいて、八重山の海のすばらしさを感じていただきたいです。
石垣のマグロは美味しい!
「海人のしごと」の中にも記載されていた、マグロ延縄(はえなわ)漁!

石垣のマグロは召し上がったことありますか?
本当に美味しいです!刺身屋さんもたくさんあって、500円でマグロがたくさん食べられます。
マグロの味はマグロの種類によっても様々なんですが、実は漁法によっても味が変わります。延縄漁のマグロは負荷(ストレス)がかからないためとても美味しいです。
石垣で延縄漁のマグロをお刺身にしているヤエスイ合同会社さん
取り寄せもできます。クロマグロ(本マグロ)は旬でしか味わえない高級魚です。
しかも肉?(しかも高級な)って思うほどの美味しさです。(旬:4月~6月)
でも私はこちらのメバチマグロの虜になりました。
季節的なものとか、色々な条件があるとは思いますが、美味しい石垣のマグロを味わっていただきたいです。
こちらの会社、環境にも配慮し、お刺身のトレイがプラスチックではなく紙でできています。海人の方々が取り入れました。
そういった事もぜひ見ていただきたいと思います。
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「海人のしごと」を読了し、石垣の海に思いを馳せ、マグロをありがたく頂きます。
ビールや泡盛と頂くと本当に幸せ!
八重山の海がこのまま変わらないように私たちも常に学び、環境の保護につなげていくことが必要と感じています。